サバイバーといえば、どうしても瞬間的に頭がよぎるのが『アイ・オブ・ザ・タイガー』。
サントラの選曲にも権限を持つといわれている、スタローンに見いだされた彼らは、同曲の大ヒットで一躍有名になります。
でも、ちょっと待った! です。
今回ご紹介する、『キャント・ホールド・バック』も忘れないでくれ、といったところです。
いや、コアなファンのなかには、「むしろ彼らの本当の成功は、この曲以降だ」と、断言する人もいるぐらいです。
それほど、この楽曲、そしてその収録アルバム『バイタル・サインズ』は、彼らにとって大きなターニングポイントとなったといっていいでしょう。
82年の『アイ・オブ・ザ・タイガー』以降、半ば一発屋のような存在になってしまった彼ら。
ボーカルを取っていたデイヴ・ビックラーも、病気を理由にバンドを脱退。
彼の後任としてジミ・ジェイミソンを迎えて、心機一転させての第1弾シングルが、こちらということになります。
全米ヒットチャートも13位と、まずまずの成績となりましたが、その後、同アルバムからは2曲ものTOP10ヒットを生み、さらには、彼らを一躍有名にした『ロッキー』シリーズの第4作目でも、主題歌担当で再起用されるという快挙も成し遂げています。
そういった意味では、まさに新生サバイバーの存在感を、見事に発揮した1曲として語り継がれている楽曲であります。
ところで、その新たにボーカリストとなったジミ・ジェイミソンですが、彼は2014年に他界しています。
そんな彼のボーカルは前任のデイヴ・ビックらーとは対照的。
ビックラーの渋みのある声に対して、ジェイミソンの声は透明感のあるハイトーンボイス。
「えっ? これがサバイバー?」って、当時は戸惑ったのを覚えています。
もちろん、後任のジェイミソンの存在が、その後のサバイバー復活への重要な要素になったことは言うまでもありません。





初登場は1984年9月15日の85位。
同年12月8日より2週連続13位を記録しています。

※1984年12月29日はビルボードがお休みのためデータがありません。


<<2週連続13位を記録したときのヒットチャートはこちら>>
(星船さんのブログより)


<<和訳はこちら。>>


むむむ…。
この曲、どっかで聞いたことがあるぞ?
と思ったら、中森明菜の『セカンド・ラブ』だったんですね。
さては来生たかおのやつ、パクりやがったな!
って、よく調べたらこちらの『セカンド・ラブ』は昭和57(1982)年。
つまり、サバイバーの『キャント・ホールド・バック』よりも先だったんですね。
サバイバーの初来日は昭和53(1985)年ということですから、彼らは一体どういった経路で『セカンド・ラブ』のメロディを知ったのか、気になるところであります。




ちなみにそのサバイバーですが、彼らの出世作であった『ロッキー3』に続き、1985年の『ロッキー4/炎の友情』でも主題歌を担当したことは、よく知られています。
さらにその4年後の、同じくスタローンの映画『ロックアップ』では、その『ロッキー4』ではサバイバーのボーカルであった、ジミ・ジェイミソンが主題歌を担当。
『ザ・ワールド・ビガン』というこの曲は、もともとはデイヴ・ビックラー時代にサバイバーがレコーディングしたもの。
それを、ジミのボーカルで再レコーディングした楽曲が、『ロックアップ』の主題歌として起用されました。
サントラの選曲にも権限を持つといわれているスタローン。
『ロッキー4』に続いてジミのボーカルによる主題歌を起用したということは、よっぽど彼の歌声が気に入ったんでしょうね。
なお、この『ザ・ワールド・ビガン』ですが、日本ではすでに廃盤となっていて、国内での入手は困難となっています。
もったいないというべきか、なんというべきか。