10ccは1960年代に、グレアム・グールドマン、エリック・スチュワート、ロル・クレーム、ケヴィン・ゴドレイの4人で結成された、イギリスのロックバンドです。
デビューは1972年ですが、それ以前からは、各々のメンバーが音楽活動を行っていました。
1970年代には彼らは全盛期を迎えますが、そんなさなかの76年にはケヴィン・ゴドレイとロル・クレームがバンドを脱退。
彼らはのちにゴドレイ&クレームとして、ミュージシャンのみならずPVの映像監督として活動します。
ちなみに、彼らのPV監督としての代表作は、拙ブログでも取り上げた、エイジアの『ヒート・オブ・ザ・モーメント』やワン・チャンの『エブリバディ・ハフ・ファン・トゥナイト』などがあります。
この『トロピカル・ラブ』は、1978年、ケヴィンとロルの脱退後2枚目のアルバム『ブラディ・ツーリスト』からのシングルカット。
その年にイギリスでは1位になりましたが、全米では今ひとつ振るいませんでした。
結局これが彼らにとって、米英を通じて最後のヒット曲となってしまったようです。
ところで、この曲の邦題は『トロピカル・ラブ』とずいぶん能天気なタイトルになっていますが、歌詞の内容はかなり深刻です。
こちらはエリックとジャスティン・ヘイワード(ムーディー・ブルースのボーカル)がバルバトスで、グレアムがジャマイカで、それぞれが実際に体験したことがもとになっています。
その内容はというと、その3名、先ほどの滞在先でよほど怖い目にあったのか、もうほとんど歌の主人公がジャマイカ人から恐喝されているのでは? と思える歌詞です。
なお、音時さんのブログによると、原題の『Dreadlock Holiday』のDreadlockとは「トレッド・ヘア」のことを指すそうです。
ゆえに、トレッド・ヘアからレゲエを連想し、最終的にはジ「ャマイカ」というスラングにもなるかと。
その一方で、Dreadlockは「怖い」という意味もあるそうで、それに意味をかけて「ジャマイカの休日」であり「怖い思いをした休日」ということになるのだそうです(⇒⇒⇒)。
どうやらこの曲、そのレゲエ・サウンドで涼むと同時に、歌詞の内容を追体験してちょっとした肝試し気分を味わうのもいいかも。
ちなみに本曲の収録アルバムのタイトルは『ブラディ・ツーリスト』ですが、これは『血まみれの観光客』という意味なのだそうです。



<<音時さんによる和訳はこちら>>


『トロピカル・ラブ』で検索したら、真っ先にこちらが出てきました。
電気グルーヴの楽曲のようです。




2019年のライブ映像です。